岡留優「無料セミナー」展

galerie 16で2024.10.15〜26に開催の岡留優「無料セミナー」展を見てきました。岡留優(1998〜)氏については当方は全く知りませんでしたが、京都市立芸大構想設計専攻出身で、以前から個展やグループ展などで活動しているものの、ここでは初の個展となるとのこと。


そんな今回の「無料セミナー」展、セミナーということで、そういうことが行なわれそうな一室がギャラリー内に再現されており、パワポの画面を描いた平面が何点か壁にかけられ、映像作品がループ上映されていました。その映像では就職活動が俎上に乗せられており、日本における就職活動の歴史と現在が「新卒一括採用の文化と現代の就職活動」というタイトルで講義されるというものとなっていたのですが、しかし実際の映像は、リモートによる講義にありがちな(?)回線の不良によるディレイやフリーズ、ブラックアウトが頻発しており、講義の内容は映像を見ただけではほとんど理解できない──これらの不具合が意図的に作られた映像が流されておりまして、なるほど確かに「無料」だったらクオリティも低いだろうしそんなことにもなりうるだろうなぁと思弁的に理解できるわけですが、かような映像を作りこんでみせることで、この展覧会は欧米の芸術祭などにおいてまま見られるレクチャーパフォーマンスのパロディとなっていると言えるでしょう。会期中何回か予定されているパフォーマンスでは岡留氏自身による補足説明and/or(セルフ)ツッコミが映像に対して随時なされるとのことですが、それは別になくてもいいような気がする。
ともあれ、かかるパロディを通して、この展覧会では「新卒一括採用の文化と現代の就職活動」の理不尽さというか、もっと端的に言ってオカルト/カルト的な様相を呈していることが遂行的に示されていたのかもしれません。実際、ギャラリー内には──ブラック企業を顧客に多く抱えていることで悪名高い──モ○○ーション・○ップ株式会社のポスターが掲げられたり、メインヴィジュアルが新興宗教のイベントのポスター感を露悪的に醸し出してたりしていたわけで。当方の就活生時代(だいたい岡留氏が産まれたころ(爆))も就活における/就活をめぐる言説はたいがいオカルト&カルトめいたものだった(中谷彰宏『面接の達人』とか)ことを思い返すに、あれから四半世紀以上経ってもまだこんな調子なんかぃと思うところではあるわけで、そういう点でもなかなかにクリティカル。